昨今、少子高齢化や過疎化そして医師・看護師不足などの様々な問題に直面している地域医療。
医療崩壊の危機も叫ばれる中、状況を打破すべく全国で取り組まれている果敢なチャレンジをクローズアップします。

今回は東北の深奥、豊かな山々に囲まれた、山形県最上町の挑戦をご紹介致します。
1.最上町紹介
MC:まずはじめに山形県最上町の取り組みの概要について、全国の方へ向けて、お話して頂ければと思います。

橋重美町長(以下、橋町長):本日、最上町(もがみまち)に来られてみて、ご覧の通り、見渡す限り山ですよね。面積は330平方キロあります。人口についても1万1千人位に減ってきました。そういう中で健康づくりの町にしたいということで、「ウェルネスタウン」構想という、私たちの体の健康と、心の健康と、社会全体の健康をイメージする、そういう町づくりを進めています。

それに合わせて、町づくりの基本方針ということで、3つの「やさしい」町づくりを基本方針として掲げています。一つは「人にやさしい町づくり」。今のようなこういう時代の中で、大変窮屈な世の中になったわけだから、みんなで支えあう、助け合う、そういう町づくりですね。同時に、役割が期待される生き方も大事だと思いますね。健康な高齢者が生涯現役で社会事業の中でさらに頑張ってもらえるような。今日実は、100歳を迎えられた人のお祝いの日でした。平成19年度だけで8名の方が100歳を迎えることになりました。昨年は6名でした。私どもは75歳以上だけでも約2000人位おります。そういう意味で、一つは人にやさしい町づくりを目指そうということです。

二つ目は「食にやさしい町づくり」です。私どもはそういう考え方の中で頑張っているわけですけれど、食にやさしいということは産業を元気にしたいということでもあります。私のところの基幹産業は農業。そういうことで、食にやさしい産業を元気にしたいということですね。その中で最上町で一番気候風土に合うのがアスパラガスです。それでアスパラの一大産地を目指そうということで、町で一所懸命頑張っているわけですが、お蔭様で、アスパラの収穫3年目にして、アスパラ一品だけで今年1億5000万を超えること

▼アスパラ製品をアピールする橋町長
ができました。基幹産業の農業ということで一生懸命頑張ってきたわけですが、一品で、しかもこんなにはやく、一億円を超えたというのは今までなかったことでした。やればできるということですね。同時に、アスパラの加工品もいっぱい作っております。例えばアスパラのラーメンであったり、アイスクリームであったり。研究したら美肌効果に大変いいらしい。育毛効果にもいいらしい。アスパラのクリームであったり、アスパラの石鹸であったり、育毛効果にも大変いいということでシャンプーも。

あと三つ目は「環境にやさしい町づくり」をしているわけですが、どこよりも環境に配慮した町づくりをしたいということで、例えば、赤倉温泉。赤倉温泉のある山の土がきわめてこの洗剤にいいわけです。アスパラのエキスと最上町の小国(おぐに)川の上流のこの土を一緒に研究して、アスパラのシャンプーを作りました。シャンプーは毎朝誰もがしますが、シャンプーした水は川に流れるわけです、でも川は汚さないようにと。こういう意味でも環境にやさしい町づくりです。あとやっぱり付け加えたいのは、農作物の命は土作りだということです。きれいな水ときれいな土。だから町で暮らせば健康的になるし美人にもなりますよ(笑)。

また現在、私は100万人交流促進条例という条例をつくっています。100万人の交流を目指そうと。100万人の交流を目指すということは定住人口の1万人に匹敵する経済効果があるというデータもあります。ただ言いたいことは、100万人というのは、ねらいとするところは、色んな交流を通して疲れを残すのではなく、心が豊かになることですね。笠原さん(当社社員)のような生き生きとした人が最上町にいることによって、あそこに行けば、笠原さんに会えるよ、誰々さんに会えるよ、あのおばあちゃんに会えるよと。そういうことですね。だから、そういう心が豊かになれる自分たちの地域に自信を持ってほしいというのが私が願いなのです。

最上町役場 政策推進室 室長補佐
笠原 栄氏(以下、笠原補佐):
ただ、一方でやっぱり人口がどんどん減少しているという事実もあります。最上町は昭和29年に東小国村と西小国村の二つの村が合併をしたのですが、その当時はだいたい1万7000人位いました。今は1万800人位で、かなり過疎化が進んでいるというかたちになっています。それと同時にやはり少子化という部分で、平成18年度で生まれた赤ちゃんが78名。他方亡くなられた方が

▼笠原補佐と当社社員笠原
150人いらっしゃいます。あと、うちの場合は高校までは皆家から通えるのですが、高校を卒業した場合、進学するにしても就職するにしても、一旦町を離れるかたちになりますよね。そうすると大学とか短大とか専門学校にいっても、なかなか戻ってきても生かせる職場がないということがありまして、戻ってくるチャンスがなかなか得られず、結果人口が少なくなってきているという面もあります。あとは高齢化ということで、今年も29.9%ということで、平成20年度でも30%を超えるのではないかという高齢化率です。

そして、ご覧の通り冬は雪が降るんですね。昔から見ればだいぶ少なくなったといっても、やっぱり1m50cmくらい積雪があります。そういう中で高齢化が進んでいる、一人暮らしの高齢者が200人くらいになっている、あるいは高齢者夫婦だけの世帯が200世帯になっているため、雪の処理もかなり問題です。そんな中、地域のみんながそういう部分を支えあって、生きていくシステムを作ろうと、ボランティア活動ですとか、小学生とか中学生、高校生すべて含めてボランティア活動に携わっているというように、先程話にあった「人にやさしい町づくり」という部分を目指しております。非常に自然的に厳しい条件のある地域ですので、昔から皆で支え合って生きてきたっていう暮らしがあります。そこは「結(ゆ)いの精神」と昔からいってるのですけれども、困ったときは皆が助けようという精神、そういう部分を大事にしていかなければならないかなと思います。

橋町長:子供からお年寄りまで役割をきちんと期待され実感できる、そういう地域づくりですね。財政は厳しくてもそういう地域コミュニティがなければと思います。限界集落だとかコンパクトシティだとか言わないでほしいですね。私なども東京へ行って陳情や要望をしますけれども、都市との均衡ある発展というのは国の責任ではないか、といつも言っております。でも逆に見方を変えれば、都市との違いをどう演出するか、どう表現するかというところが、逆にチャンスでもあります。だから一番のポイントは何かといえば、そこに住んでる人が元気でなければ駄目だと言うことです。

さらに環境にやさしい町づくりという点では、21世紀は環境の時代とも言われていますが、バイオマス実験事業をしております。これに関しては7億4000万の費用を国から頂きました。これは間伐材をそのまま山に捨てないで、間伐材を木質のチップにして、病院一帯エリアにボイラーで熱交換をするという提案です。そのボイラーで今暖房を取っております。今化石燃料は100円以上しますでしょ(笑)。

そこで、私どもの病院のエリアだけでもクリーンエネルギーで供給できないかということを含めて、そういう実験事業をしております。このように環境を提案する町として、京都議定書の二酸化炭素排出量の減少に取り組んでいます。ですから単に最上町だけの実験事業じゃない、日本を代表して頑張ってるんだと、そういうメッセージでもあるわけです。
1.はじめに・最上町紹介 / 2.最上町地域医療 / 3.ウェルネスプラザ / 4.大学提携 / 5.産学民官連携
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