−基本の大切さと難しさ−
盧山:それと、これは一番大事なことなのですが、本当に悟りというのは、心に触れて「ハッ!そうだったのか!」となるものなのです。というのも我々が空手をやったときも、基本が必要と教科書に最初から書かれているわけです。しかしながら、本当に基本が大事だと私が気付いたのは、空手をはじめて2,30年経った後でした。だから我々がいくらそういうことを口で言っても、それに気が付く人と、気が付かない人がいるのです。
以前ロシアに行って、型をやりました。そこでイメージが出来ている人は、瞬間にぱっとやるのですが、他方これはやらなくてはいけない、仕方なくやるというタイプ、こういうやり方をしている人がだいたい99%なのです。だから本当にイメージの大切さ、イメージからくる成果を確信できる人というのは1%いるかどうかというところなのです。

宮畑:だから基本の大事さというのは、空手もそうだし、ウェイトトレーニングも同じですね。私はトレーニング指導として慶應高校には7年行っているのですが、基本種目というものが必ずあって、それだけを徹底して、行く度にやらせています。そして去年12月はじめて冬合宿に行って、そこで基本を徹底してやっていたので、どれだけの重量を持たせるか、ということでやったら、レギュラーの18人が全部200キロ以上あげたのですね。だからこれはおそらく、日頃は100キロとかそういうのでやっているんですけれども、その基本を徹底してやっていなければ、僕もその生徒達にやらせなかったでしょうし、基本ができてるから怪我しなかったのだと思います。それではじめて基本の大事さというものが、監督もコーチも選手達にも、分かったんですね。ですから基本というのは、それを説明しても、それを理解する経験がないだけに非常に難しいものがあるわけです。
−健康で強いカラダをつくる秘訣−
MC:最後に、健康で強いカラダをつくる秘訣のようなものがあれば、お願いします。

盧山:とりあえずものごとを長く続けるということ、絶対に三日坊主で終わらないということが大切ですね。だからそのためには、日本人の悪い癖で、それを自分の使命にして、それがつらくてもいやでもやらなくちゃいけないという、こういう態度は止めて、自分を縛る必要ないですから、やる以上はまず好きになってもらいた
いし、楽しんでやるということが一番大切なことだと思います。それでなければ長続きしないわけですから。だから自分で余計な手かせ足かせをやらないで、ひとつやる以上は末永く死ぬまでこれを続けるんだと。空手でもそうです。つらいと思ったらお終いです。苦しいと思っても、つらいと思ってはいけないですよ。好きこそものの上手なれ、という言葉があるように、一生の友達、一生これを死ぬまで続けるという、そういう気持ちを持って、そのために無理をしない。これが一番大事なことだと思いますね。

MC:本当に好きだと無理はしなくなるものなのですね。

盧山:無理はしないですね。例えば今日やって、やり過ぎたから明日は出来ない、というのは本当の好きとは言えないのです。今日やったら明日もやりたいと思う。すると当然加減というものがあるのです。だから続けられる。私だって基本的には一年365日毎日稽古やりますから、そのためには私の年であまり無理したら、明日の稽古できなくなってしまうし、だから今日はこのくらいでいいかなっていうのがあります。それは年を取ることによって、簡単に分別できるようになりました。
宮畑:私の場合は健康になりたいという一心が非常に大きいです。私は脊髄分離症で、下半身不随で、今病院でレントゲン撮るとじゃあ手術しましょうとそういう感じなのです。こちらとしては、はじめは医者にいくけれども、医者が治してくれるわけでなくて、あくまで自分で治そうという感覚を持っておりますね。

昔は柔道とか相撲をずっとやってて、それで学生のときに無理をしたりとか、それの長年の蓄積かもしれませんが、脊髄を悪くして
しまいました。それである時期、私はずっと大阪にいたんですけれども、大阪府警が経営している柔道場へ行こうとして、電車に乗ったら、乗るまではいいんですけれども、立つときにも立てないのですね。その繰り返しをやってるうちに、病院へ行って手術しなくちゃいけないということになりました。私が病院に行っていた頃は、たとえ手術しても、5年8年経ってもまだ正常に歩けないという姿を沢山見ておりましたので、手術は絶対避けたいなと思っていました。ただ幸いなことには、検査の時のお医者さんが、主治医ではなくインターンが担当したおかげで、三回も失敗したんです。これですぐ手術はできないということになったので、私はもう名古屋の労災病院に逃げて手術はしなくて済みました。

その病院で入院中、その頃はリハビリといったら赤外線かマッサージだけで、今みたいなトレーニングとかはありませんでした。その後一応、歩けるようにはなったので、家に帰されたのですが、10分歩くと40度近い熱を出すという繰り返しで、それでも歩きたいと思ったので、20分とか30分とかだんだん増やし、そして2時間ぐらい歩いているうちに、大分よくなりました。この頃はただ自分が元気になりたいという一心でした。そういう意味では医者の失敗に感謝してますし、さらに病気もに感謝というか、そのリハビリの延長が今の自分の仕事につながっているわけです。

福永:そうやってリハビリしていく中で、動いていくことが楽しくなってくるのですね。

宮畑:そうですね。立ったり座ったり、その頃はスクワットなんか分らなかったですから。そして歩けるようになって10回くらい立ったり座ったりが出来るようになったら、毎日ちょっとづつ増やしていって、3000回ぐらいまでできるようになって、そうしたら物凄く元気になりました。

盧山:それ以上楽しいことないでしょうね。人間の身体は基本的にはいい体になって力が付いて、そうしたらそれこそ「元気ですかー!」と元気は倍増で一番嬉しい話でしょうね。

宮畑:だから気持ちというのは非常に左右するし、強くなりたい、元気になりたいと思うことが一番大事ですね。

MC:ありがとうございました。
インタビュー後記
(MC安保)
 今回のインタビューは当社記念パーティの演舞プログラムなどでご協力頂いているご縁から実現いたしました。
 インタビューの方は終始穏やかに、時にはユーモアも交えながら進み、両先生の人生経験に裏打ちされた力強い助言を頂くことができました。
 既に数年前に還暦を迎えられたという宮畑会長と今年還暦を迎えられたという盧山館長はお二人とも、全くその年齢を感じさせないほど心も体も若々しかったことが印象的で、インタビューの最中は若い私たちの方が、逆に両先生の若さで活気づかせられるようなことが何度もありました。
 健康管理は医者・患者を問わず誰にとっても重要なものですが、時流に流されず、一人一人が自分の体と相談して自分なりの処方を見つけることが大切だとの認識を新たに致しました。

(福永)
 初めてお二方にお会いして、そのバイタリティーに驚かされました。多くのことを成し遂げてこられたお二人が、なぜ未だその情熱を保ち続けられるのか疑問でした。しかし、インタビューを進めていく中でその答えがおぼろげながら見えてきたように思います。お二人にとって強く健康な心身であり続けることはこの上ない喜びなのかもしれません。そして、更なる高みへといつでも挑戦し続けることを生きがいとしているように感じました。
 私の周りにはリハビリを続けるスポーツ選手が多くいますが、やはり楽しく積極的にリハビリを続けられる選手が早く復帰できているような気もします。元気の「気」は気持ちの「気」。明るく前向きな気持ちで自分の身体に向き合うことが健康への近道なのかもしれません。私自身も残された学生生活を精一杯前向きに頑張ろうと勇気をいただきました。

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