−ストレス社会と健康管理−
福永:ただこれだけメタボ、メタボと騒がれて、医療費の問題があったりするなかで、男性の方にももっと健康管理に関心を持ってもらわないといけない、というようなことがあるのではないでしょうか?
盧山:健康管理については深刻ですね。食生活も変わったし、やはり身体も動かさないし、それに食生活にとどまらず社会生活そのものが根本的に変わってしまいました。それともう一つ最近気
になるのは、健康管理、健康管理とあまりに過敏になって、むしろそれがストレスになっているのではないか、という気もします。私は、一番人間が生きてく上で阻害となるのはストレスなのではないかと思っています。
私の先生の大山倍達先生は70歳で亡くなられたのですが、あれほど身体を鍛えて、強いといわれた先生でも、病気には勝てなかったわけですから。その病気になった原因の一つがストレスだったのです。あの先生はそれこそ健康管理に関しては人一倍、人十倍くらいの神経を使っておりました。
酒もやらない、タバコもやらない。しかも何かの飲み水にしても、食事にしても、本当に気を使っていました。そして年何回かは聖路加病院の人間ドッグにも行っていました。その人が肺がんになってしまった。酒もタバコもやらない人が肺がんです。だから多くはやはりストレスなのですね。確かにメタボも人間の色々な病気を引き起こす原因になるかもしれないけれど、むしろストレスが原因でメタボになる可能性の方が強いかなと思っています。
例えば中国のケ小平先生、彼は一日何百本タバコを吸って「私がこんなに長生きできたのはタバコを吸ったお陰だ」と言っているほどです。これもある意味で、彼独特のストレス解消法であって、他の人が真似したら肺がんになったかもしれないけれど、その人なりの、その人に合った健康維持法というのが必ずあると思うのです。他の人が成功したから、みんな右へ習えという今の世の中全体の風潮がありますが、これはむしろマイナスであって、個々にどうすればストレスを解消できるかということが大事で、酒を飲まない人がストレス解消に酒飲めといわれても、むしろストレスになるだけなのです。このあたりを一人一人が自覚して、自分に合ったストレスの解消法・健康法というのを確立する必要があるのではないでしょうか。
とにかく今の世の中はあまりにも、マスコミも含めて社会全体で「あれも管理、これも管理」ですね。もうマスコミから何から頭に入る全ての情報が、「管理、管理」で、そのあたりでストレスが自然に発生するような社会背景になっていると思います。血圧のレベルひとつとっても、海外を基準にして、日本では無理
やり血圧の病気にさせているような気もします。もう少し自由な発想と、ゆったりとした環境というものができればいいと思います。タバコは身体に合わないから私はもう止めましたが、タバコは悪であるとか、酒は悪いとかいうことではなく、もうちょっと伸び伸びとした発想で見てもらいたいものです。今は社会の管理・締め付けが大変強くなりつつあるな、という感じがしますね。
−声を出すことの大切さ−
盧山:空手といえば昔は強くなるための空手でした。しかし今は空手にも幅広い目的を持った人が来ますから、それにも対応していかなければいけません。だから強さだけではなく、美容や健康や護身や、それにストレスといいましたけれど、道場へ来て大声を出して気合をかけるというそのこと自体が、とてもストレスを発散できるのです。また道場へ来た壮年部の方たちは何が楽しみかというと、練習が終わった後に一杯飲むことだったりするわけです。それも大きなストレス解消につながっています。
宮畑:やはり声を出すということは大切で、シルバーの人たちの体操の秘訣もそこにあったりします。それで声をかけてやりましょうというと、普通は100人いても20人位しか声を出さないのですが、これが痴呆症の予防になりますよと言った途端、突然全員声を出すのです(笑)。ちょっとしたことですが、やはり痴呆症になりたくない、元気になりたい、という思いがあると、照れとかそういったものをどんどん失くしていって、大きな声が出せるのです。これは各地方一緒です。体操では大きな声で数えさせるのですが、一緒に数えてやると突然元気になって、本当に動きが全然違うのです。